三段峡 柴木から葭ケ原まで
三段峡駅前から100mほど歩き橋を渡ると,眼下には美しい峡谷が広がっている。「長淵」と呼ばれる,水の美しいところである。さらに少し進むと,細い2本の滝が流れ落ちる,「姉妹滝」を目にすることができる。この先,葭ケ原付近まで,本流の左右に大小さまざまな滝を見ることができる。このように多くの懸谷ができていることは,本流の侵食が,支流にくらべて速かったことを物語る。
「姉妹滝」の先には,「竜ノ口」と呼ばれる岩石段丘がある。三段峡を世に広めたとされる,熊南峰氏が最初に興味を持った景観は,この「竜ノ口」とされているようだが,現在の遊歩道は非常に高いところを通っており,彼が見たものとされる景観と同じものを目撃することは容易ではない。
「赤滝」は,その名の通り,岩肌が真っ赤になっている滝である。これは微生物のはたらきによるものと考えられている。「黒淵」には渡し船もあり,峡谷を水面からも楽しむことができる。渡し船を利用せずに山道を歩けば,この美しい峡谷を見下ろすことができ,これも見逃せないだろう。
三段滝方面
「三段滝」は,峡谷内最高の景観とされる。とくに紅葉シーズンには,たいへん多くの人がここを目指す。
「三段滝」から,さまざまな景観を見ながらさらに上流に進むと,やがて峡谷内唯一の定住集落である「餅ノ木」に着く。集落を過ぎてさらに上流に進めば,左手に「娘滝」があり,やがて「出合滝」が見えてくる。さらに進むと,「繰糸滝」という非常に細い滝があり,さらに上流には「貴船滝」がある。この付近も,懸谷が多く形成されている。
「繰糸滝」の先には,「竜門」と呼ばれる,狭い岩壁の間を急流が流れるところを見ることができる。ここの迫力は特筆できるだろう。そして,「樽床ダム」の近くには,「三ツ滝」がある。これは,「三段滝」にも劣らない(もしかすると「三段滝」よりも),美しい滝である。
ニ段滝方面
葭ケ原から田代川沿いを進むと,「猿飛」という切り立った岩壁が狭い水路をなしているところに到着する。幅は狭いところで2mくらい,水深は深いところで7mくらいあるという(水害でかなり埋まってしまったこともあったらしい)。ここには渡し船が営業されており,岩の間を通ることができる。渡し船で「猿飛」を越えると,「二段滝」を正面から見ることができる場所に着く。
「猿飛」の渡し船に寄らずに遊歩道を進むと,「猿飛」および「二段滝」をまいて,先に進むようになる。遊歩道をそれて斜面を降りなければ,こちらから「二段滝」を見ることはできない。この先にもいろいろな景観があるが,やがて田代川と横川川の合流点,田代出合に着き,三段峡は終わる。
この先,林道を田代方面に歩き,林道が田代川と分かれるところを,川に沿う方にすすめば,「奥三段峡」に至る。
(→全体図)
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